
ニールセン デジタル株式会社が発表した、「2018年12月におけるスマートフォンの利用状況調査」によると、1ヶ月間のスマートフォン利用時間のうち、一番長いのは動画や映画の視聴で、平均7時間11分でした。
2017年度と比較すると57分の増加となります。特に若年層においては10時間43分と、スマートフォンは動画や映画を視聴するためにあると言っても過言ではないようです。
年代別/カテゴリー別 スマートフォンの月間平均利用時間
()内は対前年比
引用2018年12月におけるスマートフォンの利用状況調査/ニールセン デジタル株式会社
動画を視聴する人が増えるほど、動画編集をする人材の需要も高まるのは当然です。本記事では、動画編集を副業にする方法や稼ぐコツを紹介します。
目次
動画編集の副業がおすすめな理由3つ
動画編集の副業をするメリットは次のとおりです。
動画編集の需要は高止まり
YouTubeが公開している統計情報、「数字で見るYouTube」によると、世界規模では、毎月20億人以上のユーザーがYouTubeを利用しており、1日あたりの動画視聴時間は10億時間を超え、視聴回数は数十億回にのぼります。
視聴する人が増えれば、YouTube動画を作成する側になろうとする人も増えるのは当然です。
一方、動画作成の過程で動画編集は手間のかかる工程であり、動画編集を外注して自分は動画の企画に専念しようとする人がたくさんいます。
YouTubeを筆頭に動画・映像市場は活況であるため、動画編集者の需要も高まる一方です。
求められるスキルがそれほど高くない
今でこそ、誰でも気軽に動画を視聴していますが、株式会社電通広報局による「電通報:日本の動画年表」によると、YouTubeの誕生は2006年、ニコニコ動画の誕生は2007年と、動画プラットフォームが誕生したのはわずか14年程前です。
動画をテレビでしか視聴できなかった時代を過ごしたことのある年代の人は特に、動画編集は求められるスキルが高そうだと、尻込みしている傾向があります。
意外かもしれませんが、動画編集に必要な技術は固定化しているため、動画編集のスキルを身につけるのは難しくありません。
目安として2ヶ月ほど勉強すれば副業案件を受注できるレベルに到達します。
在宅副業が実現する
動画編集の作業は、ほぼ100%自宅での作業で完結します。
クライアントとの打ち合わせもチャットやWeb会議などオンラインで行われることが大半です。
動画編集は本業とは別に行う副業としては、好条件が揃っています。
動画編集の副業をするデメリット3つ
動画編集の副業をするデメリットは次のとおりです。
初期投資が必要
動画編集には、専用の動画編集ソフトが必要です。また、動画編集をストレスなく行うには、16GB以上のメモリ、Core i5以上のCPUを搭載したPCが必要です。
動画編集の環境を一から揃えると20万~30万円ほどの初期投資が必要になります。
大きく稼ぐにはセンスとスキルが必要
高額な動画編集案件を受注して大きく稼ぐためには、おしゃれで見やすく、人を惹きつける動画を作成するだけのセンスと高いスキルが必要になります。
高額案件をこなせるようになるためには、継続したスキルアップが求められます。
まとまった時間が必要
動画編集では、「スマホ1つでスキマ時間に副業」ということはできません。
PCの前に座り、集中して作業する時間が必要です。集中できる時間が捻出できない場合も、動画編集の副業は可能ですが、作業しにくいことは間違いありません。
動画編集の副業をしてどのくらい稼げる?
株式会社カカクコムの求人ボックスが発表している、「動画編集の仕事の年収・時給・給料情報」によると、動画編集を本業にしている人の平均年収は約399万円です。
ただし、給与幅としては296万円〜651万円と幅があり、スキルや所属企業の規模により収入が大きく変動する仕事であると言えます。
動画編集を副業にした場合、個別案件の報酬の例を挙げると次のとおりです。
YouTube動画編集
支給される音声・テキストデータに対し、画像やアニメーションを加え2分~3分の動画に仕上げる仕事。
- 報酬:2000円~3000円/動画1本
映像撮影・結婚式撮って出しエンドロール撮影編集スタッフ
結婚式場にて挙式進行中に動画編集を行い、エンドロールとして上映する仕事。
- 報酬:3万円~(交通費別途支給)/1挙式
披露宴に参列すると、披露宴の終了間際に、列席者の映像および列席者の氏名がエンドロールとして流れる演出を目にします。カメラマンと組んで、このエンドロールを現地で編集する仕事です。
動画編集の副業をするのに必要な機材・技術は?
動画編集の副業をするために必要な機材やソフトウェア・技術はどのようなものでしょうか。
動画編集に必要な機材やソフトウェア
ストレスなく動画編集を行うために必要な環境は次のとおりです。
PC
Core i5以上のCPU(Core i7推奨)
16GB以上のメモリ
ミドルクラス以上のグラフィックボード
SSD + HDDのストレージ
ソフトウェア
様々な動画編集用ソフトウェアがありますが、そのうち主要なソフトウェアを紹介します。
Adobe「Premiere Pro」
引用Premiere Pro/ Adobe
「Premiere Pro」は、広く普及している動画制作・編集ソフトです。
カット編集やテロップ乗せ、音の編集など、動画編集に必要な機能を網羅しています。
Premiere Proの価格:月額プラン1,680 円/月(税別)
Final Cut Pro
引用Final Cut Pro/Apple
Mac専用になりますが、「Final Cut Pro」も動画編集用ソフトとしては広く普及しています。高機能ながらUIが優れており、直感的に操作ができます。
Final Cut Proの価格:¥36,800
動画編集に必要な技術
動画編集を副業にするためにまず覚えるべきなのは、映像編集ソフトの使い方です。動画編集ソフトで、最低限次のような操作を行えるように練習します。
カット
カットは、素材となる動画から不要な部分を取り除いていく作業です。
テロップ挿入
テロップ挿入では、動画に合わせて文字を入力していく作業を行います。
BGM挿入
動画内に音声ファイルを挿入して効果音・BGMを付け加えます。
動画編集ソフトの操作の習得と同時に、動画の保存形式や再生方法など、動画に関する知識、動画の構図やライティング、加えて撮影の基礎といった知識も身につけます。
なお、動画編集ソフトには様々な種類がありますが、すべてをマスターする必要はありません。複数のソフトを使いこなせるようになるよりも、いずれか1つのソフトに習熟することを目指しましょう。
動画編集の副業で稼げるようになるまでのステップ
動画編集の副業を始めて稼げるようになるまでの一般的な流れは、次のとおりです。
1.機材や環境を整える
動画編集に必要なPCや動画編集ソフトを購入し、環境を整えます。
2.動画編集に必要なスキルを学ぶ
上記で紹介したような動画編集の技術や知識を身につけます。スクールに通っても良いですが、独学でも十分に技術を習得できます。
早くスキルアップするためのコツは、「有名動画の手法を真似してみること」と「実際に手を動かすこと」です。気に入った動画や有名動画を真似して、同じ動画を作成してみる模写もおすすめです。
3.ポートフォリオを作成する
勉強で作成した動画は自分のポートフォリオとしてまとめておきましょう。
ブログにアップしたり、SNSで公開すると、追加や削除が楽です。ポートフォリオは名刺のようなもので、クライアントに対し動画編集のスキルを示すために活用できます。
4.動画編集の案件を受注する
動画編集の流れや基本的なスキルを身につけたら、実際の案件を受注して副業を開始してみましょう。
具体的な案件獲得方法は次項で説明しますが、一番残念なのが「まだまだスキルが足りないから」といって、いつまでも副業を始めないことです。
真面目な人ほど勉強ばかりして、いつまで経っても副業ができないというジレンマに陥りがちです。
実際の副業を始めてからでも勉強は継続できますので、小規模案件から受注してみることをおすすめします。
ポートフォリオを更新する
動画編集の仕事を1本終えたら、ポートフォリオを更新しましょう。
実績が増え、実力も上がったことを示す新しいポートフォリオで、次のクライアントにアピールします。
副業で動画編集者が仕事を獲得する方法8つ
動画編集者の副業探しでは、クライアントに業務委託してもらう方法が中心です。
また、フリーランスの動画編集者と同じ土俵で戦うことになりますが、次に紹介する方法を組み合わせて一つ一つ仕事を獲得していきましょう。
クラウドソーシングを利用する
「CrowdWorks」や「Lancers」など、人材を探したい企業と、副業したい人をマッチングするクラウドソーシングを活用して動画編集の仕事を探すことができます。
例えば、「CrowdWorks」だと本記事執筆時時点で、登録されている動画編集の案件が5,419件あります。
クラウドソーシング経由の案件は安価な物が多く、システム利用料もかかるため大きな収入にはなりにくいですが、始めての副業では仕事が探しやすいでしょう。
ブログやSNSを運営し問い合わせを待つ
Webサイト・ブログやSNSを運営し、実績・ポートフォリオを公開しておくのも仕事探しに有効です。
実績を見たクライアントが問い合わせフォームから連絡をくれることがあります。
ただし、これまで制作した作品がないと公開するものがないため、ある程度実績が溜まってからの案件獲得方法になります。
企業やYouTuberに直営業する
動画編集者を必要としていそうな企業やYouTuberに対し、公式サイトの問い合わせフォームからメッセージを送ったり、SNSで連絡したりして、営業します。
特別に動画編集者の求人広告を出していない場合でも、常時人材を募集しているということは多々あります。
知人・友人から仕事を請け負う
結婚式で流したいプロフィール動画や誕生日のサプライズ動画など、オリジナル動画を作成したいけれども自分では作れないという人は多いです。
日頃から知人や友人にポートフォリオを見せるなどして、動画編集の仕事をしていることを伝えておきましょう。機会があれば仕事を頼まれることがあります。
動画編集の副業で稼ぐコツ3つ
動画編集の副業を始めた後、より多く稼ぐためのコツを紹介します。
PCのスペックを上げる
報酬金額が同じなら、作業時間が短くなるほど収入は増えます。
作業時間を削減するために、作業用PCをスペックが高いものに変えるのも一つの方法です。
動画編集作業中に重く感じる場合は、PCを買い換えることも検討してみましょう。
標準化・テンプレート化
YouTube用動画・結婚式用動画・Web広告用動画など、動画編集が求められる場面は多々ありますが、それぞれやり方や型が大体決まっています。
異なる種類の動画編集案件を受注してスキルアップを目指すのも良い方法ですが、例えば、YouTube用動画だけを集中して受注することで、作業フローをテンプレート化することができます。
フローに乗って作業することでたくさんの案件をこなせるため、収入アップに繋がります。
クライアント数を増やす
契約するクライアント企業は、1社だけに絞るよりも複数の企業と契約したほうが、収入は安定します。
1社から10案件より10社から1案件ずつ請け負いましょう。理由は、各企業は業績が傾いた場合には、まず外注費を削減します。
また、クライアントの担当者が退職してしまった場合、後任の担当者が同じ動画編集者に発注してくれるとは限りません。
クライアント企業側の事情に引きずられずに、安定して副業を獲得するためにも、広く浅くクライアントと付き合うべきです。
動画編集の副業をする際の注意点
動画編集の副業をするときに注意すべき点を紹介します。
確定申告をする
動画編集に限らず副業をしている人のうち、次のようなケースでは確定申告をする必要があります。
- 給与の収入金額が2,000万円を超える場合
副業の有無に関わらず、1年間の給与収入が2,000万円を超える人は年末調整が行われないため、確定申告が必要です。
- 副業の所得金額(給与所得以外)の合計額が20万円を超える場合
副業として、動画編集などによる報酬を得ている場合が該当します。
- 2ヶ所以上から給与をもらい、年末調整をされなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得・退職所得を除く)との合計額が20万円を超える場合
副業を給与として受け取っている場合が該当します。本業の後にアルバイトやパートをして、年間20万円を超える給与を受け取っている場合などが該当します。
確定申告の手続きは、原則として翌年の2月16日から3月15日までに行いますが、提出しなかった場合は、無申告加算税や延滞税が発生したりするなどのペナルティがあるため、期限内に確定申告するようにしましょう。
PCの不調を見逃さない
動画編集の副業では、PCとソフトウェアが命綱と言っても過言ではありません。
仕事が立て込んでいるときは特に、ちょっとしたPCの不調を見逃しがちです。
納期間際にPCが動かなくなってしまった場合などは最悪で、納品に支障をきたしてしまいます。
できれば、万が一の際に使用できる、サブのPCを用意しておきましょう。
また、データのこまめなバックアップは必須です。作業途中のデータは最低1日1回、バックアップを取り、万が一、PCが不調に陥ったときでもデータだけは救出できるように、万全を期しましょう。
まとめ
動画編集者は“食いっぱぐれない”職業とも言われています。
在宅での作業で完結し、基本的に出勤する必要がないため、動画編集は副業にも向いています。
動画編集用ソフトウェアは一定期間無料で試用できるソフトも多いため、興味がある人は向き不向きを見極めるために使ってみるのも良いでしょう。