離職に関してその要因はさまざまですが、雇用主に雇われて働く人はほぼ100%経験するのが失業です。
そして、失業中の生活を支える強い味方となってくれるものが「失業保険(基本手当)」です。
本記事では、失業保険の基礎知識として、失業保険とはどのようなものか、概要や受け取れる金額の計算方法、手続きの流れまでまとめて紹介します。
目次
失業保険とは
雇用保険の被保険者が失業した場合に、生活や雇用の安定を図るために行われる給付を「失業等給付」と言います。
失業等給付は、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付の4種類に分けられます。
- (1)求職者給付
雇用保険の被保険者が失業状態にある場合に、失業者の生活の安定を図り、求職活動を容易にすることが目的(失業補償機能) - (2)就職促進給付
失業者の再就職を援助・促進することが目的 - (3)教育訓練給付
働く人の主体的な能力開発を支援することによる、雇用の安定化と再就職の促進が目的 - (4)雇用継続給付
働く人の職業生活の継続を援助・促進することが目的
一般的に失業時に受け取れる金銭として”失業保険”や”失業手当”と呼ばれているものは、(1)求職者給付の「基本手当」にあたります。
失業保険の受給期間はいつからいつまで?
失業保険(基本手当)の受給期間(給付日数)は、雇用保険の被保険者であった期間や年齢・離職理由によって異なります。
代表的な3つのケースを例に、失業保険の一般的な給付日数を紹介します。
自己都合退職の場合
自己都合退職の場合、雇用保険の被保険者であった期間の区分により給付日数が異なります。
被保険者であった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
※離職した日の満年齢65歳未満共通
例えば、被保険者期間が9年11ヶ月の35歳Aさんは”90日”、被保険者期間が10年1ヶ月の35歳Bさんは”120日”と、たった数ヶ月の違いで失業保険をもらえる期間が1.3倍以上異なるため、退職を検討している場合は考慮すべき点のひとつとなりそうです。
会社都合退職の場合
倒産・解雇により離職を余儀なくされたなど会社都合退職の場合も、雇用保険の被保険者であった期間・年齢により給付日数が異なります。
被保険者であった期間 | |||||
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10 年以上20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 | |
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
例えば、被保険者期間が9年11ヶ月の35歳Cさんの勤務先が倒産してしまった場合、
“180日”がCさんの給付日数となります。
また、35歳で自営業から会社員に転職した矢先に解雇されてしまった、被保険者期間10ヶ月のDさんの場合、給付日数は”90日”となります。
就職困難な受給資格者の場合
障害等があり、すぐに新しい就職先を見つけるのが難しい就職困難者の場合は、年齢により給付日数が異なります。
就職困難者の受給要件として、離職前の1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要です。
被保険者であった期間 | 1年未満 | 1年以上 |
---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
身体障害者であり、被保険者期間が1年1ヶ月の35歳Eさんは、”300日”の給付日数となります。
失業保険の待期期間とは?
失業保険(基本手当)の手続きをしたからといって、即日手当が受け取れるというわけではありません。
ハローワークで申し込みを行った日(受給資格決定日)から7日間の「待期期間」は、失業保険は支給されません。
この待期期間は、本当に失業状態にあるといえるのかを確認するために設けられているとされます。
また、自己都合退職者の場合は、待期期間の翌日からさらに3ヶ月間の「給付制限」があり、この間も失業保険は支給されません。
この給付制限は、自分の都合で退職しているので、経済的な備えはできているはずだということで設けられています。
失業保険で受け取れる金額の計算方法
失業保険(基本手当)は1ヶ月でどのくらい受け取れるのでしょうか。
目安としては次表のとおりです。
給与の総支給額(平均) | 失業保険の支給額 | 失業保険の支給額 (離職時の年齢が60歳以上65歳未満の場合) |
---|---|---|
月額15万円程度 | 月額11万円程度 | |
月額20万円程度 | 月額13万5千円程度 | 月額13万円程度 |
月額30万円程度 | 月額16万5千円程度 | 月額13万5千円程度 |
※給与の総支給額は、保険料等が控除される前の額。賞与は含まない。
参考 Q&A/厚生労働省
失業保険の金額は、離職時の年齢や給与額・離職理由によって異なります。
また、給付額には上限・下限がある点にも注意が必要です。
失業保険で受け取れる金額の計算方法を見てみましょう。
失業保険の計算の流れ
失業保険で受け取れる金額は、次の手順で総額を計算することができます。
①賃金日額を求める
次の計算式で賃金日額を求めます。
賃金日額=退職前の6ヶ月間の給与÷180日
※残業代や手当ては含め、ボーナスは含めない。
②基本手当日額を求める
次項に掲載した「基本手当日額の計算式」に求めた賃金日額を代入し、基本手当日額を計算します。
③給付日数を確認する
上記「失業保険の期間いつからいつまで?」で説明した、失業保険の受給期間(給付日数)を確認します。
失業保険の給付日数は、雇用保険の加入期間や離職理由により異なります。
例えば、自己都合退職の場合、被保険者であった期間が10年未満なら”90日”、10年以上20年未満なら”120日”、20年以上なら”150日”です。
④手当総額を求める
次の計算式で手当総額を求めます。
手当総額=基本手当日額✕給付日数
基本手当日額の計算式
離職時に30歳未満の場合の計算式
賃金日額 | 基本手当日額 |
---|---|
2,500円以上 5,010円未満 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額 |
5,010円以上12,330円以下 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額-0.3✕{(賃金日額-5010)/(12330-5010)}✕賃金日額 |
12,330円超13,630円以下 | 基本手当日額 = 0.5✕賃金日額 |
13,630円超 | 基本手当日額 = 6,815 |
離職時に30歳以上45歳未満の場合の計算式
賃金日額 | 基本手当日額 |
---|---|
2,500円以上5,010円未満 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額 |
5,010円以上12,330円以下 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額-0.3✕{(賃金日額-5010)/(12330-5010)}✕賃金日額 |
12,330円超15,140円以下 | 基本手当日額 = 0.5✕賃金日額 |
15,140円超 | 基本手当日額 = 7,570 |
離職時に45歳以上60歳未満の場合の計算式
賃金日額 | 基本手当日額 |
---|---|
2,500円以上5,010円未満 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額 |
5,010円以上12,330円以下 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額-0.3✕{(賃金日額-5010)/(12330-5010)}✕賃金日額 |
12,330円超16,670円以下 | 基本手当日額 = 0.5✕賃金日額 |
16,670円超 | 基本手当日額 = 8,335 |
離職時に60歳以上65歳未満の場合の計算式
賃金日額 | 基本手当日額 |
---|---|
2,500円以上5,010円未満 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額 |
5,010円以上11,090円以下 | ・基本手当日額 = 0.8✕賃金日額-0.35✕{(賃金日額-5010)/(11090-5010)}✕賃金日額 ・基本手当日額 = 0.05✕賃金日額+(11090×0.4) のいずれか低い方の額 |
11,090円超15,890円以下 | 基本手当日額 = 0.45✕賃金日額 |
15,890円超 | 基本手当日額 = 7,150 |
参照 基本手当日額の計算式及び金額/厚生労働省
※計算式は定期的に見直されており、本記事執筆時で最新の令和元年8月1日変更版を紹介しています。
※1円未満は切り捨て
失業保険の具体的な計算例
具体的なケースを挙げて、失業保険の計算方法をさらに詳しく説明します。
雇用保険の被保険者期間が9年11ヶ月の35歳Cさんが、勤務先が倒産してしまったため離職し、失業保険を受給しようとしているとします。
Cさんの6カ月間の給与(残業代や手当て含む。ボーナスは含めず)は、210万円でした。
また、Cさんの場合は会社都合退職になります。
上記で説明した、計算の流れにあてはめて、Cさんの失業手当の総額を算出してみましょう。
①賃金日額を求める
次の計算式で賃金日額を求めます。
Cさんの賃金日額=210万円(退職前の6カ月間の給与)÷ 180日 = 11,666円
②基本手当日額を求める
上述の「基本手当日額の計算式」によると、Cさんの場合「離職時に30歳以上45歳未満の場合」の計算式を利用することになります。
離職時に30歳以上45歳未満の場合の計算式
賃金日額 | 基本手当日額 |
---|---|
2,500円以上5,010円未満 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額 |
5,010円以上12,330円以下 | 基本手当日額 = 0.8✕賃金日額-0.3✕{(賃金日額-5010 )/(12330-5010)}✕賃金日額 |
12,330円超15,140円以下 | 基本手当日額 = 0.5✕賃金日額 |
15,140円超 | 基本手当日額 = 7,570 |
この計算式に求めた賃金日額(11,666円)を代入し、基本手当日額を計算します。
Cさんの基本手当日額
= 0.8✕11,666-0.3✕{(11,666-5,010)/(12,330-5,010)}✕11,666 = 6,150円
③給付日数を確認する
会社都合退職で、被保険者であった期間が5年以上10年未満かつ、離職時に35歳以上45歳未満であるCさんの失業保険の給付日数は、”180日”です。
④手当総額を求める
基本手当日額(6,150円)と給付日数(180日)を元に手当総額を求めます。
Cさんの手当総額
=基本手当日額(6,150円)✕給付日数(180日)= 1,107,000円
月額だと172,210円ほどになります。
失業保険をもらうメリットとデメリット
失業保険(基本手当)の受け取りは、雇用保険の被保険者の当然の権利であるため、失業保険を受給したからといって何らかの不都合が生じることはありません。
ただ、再就職の観点からは必ずしも失業保険を受け取ることが最善と言えないケースもあり、受給前に検討しておくべき点です。
失業保険を受け取るメリット
失業中に金銭的な支給を受けられる点がメリットです。
後述するように、離職理由として自己都合退職と会社都合退職とがあり、失業保険の受給という観点からは、自己都合退職ではなく会社都合退職のほうがはるかにメリットがあります。
会社都合退職の場合は自己都合退職の場合と比べ、失業保険の給付期間が長く、給付開始時期も早くなります。
失業保険の受給という観点からは、自己都合退職をあえて選ぶことにメリットはありません。
失業保険を受け取るデメリット
失業保険を受給することに対するデメリットはありませんが、自己都合退職の場合は3ヶ月の待期期間が設けられ、その期間中は失業保険は支給されないことに注意が必要です。
給与も失業保険も受け取れないという期間が発生することになる点は、デメリットと言えそうです。
会社都合退職の場合でも、失業保険を受給すること自体にデメリットはありません。
ただ、再就職活動時に提出する履歴書に、自己都合退職の場合は「一身上の都合により退職」と記載できますが、会社都合退職の場合は「会社都合により退職」と記載することになります。
面接などでも離職理由を細かく追及されることが予想されます。
また、失業保険の給付期間が長いとはいえ、受給中は基本的に働くことができないため、不安を抱くこともあるでしょう。
失業保険をもらうための必要書類
失業保険(基本手当)の受給手続きに必要な書類や持ち物は次のとおりです。離職前に準備すべき書類も含まれているため、注意しましょう。
離職票
離職票は、離職した会社が発行した離職証明書に基づいて、ハローワークが交付する書類です。
ハローワークから会社に郵送して、その後、会社から離職者に郵送するため、手元に届くのは退職後10日ほど経ってからです。
退職前に、会社に離職票の発行依頼と送付先の住所の確認をしておきましょう。
雇用保険被保険者証
離職する会社に入社した時に交付されているものです。退職するときに会社から受け取ります。
証明写真2枚
縦3cm✕横2.5cmのサイズで本人と確認できる写真です。
個人番号確認書類および身元確認書類
以下の(1)と(2)のうちいずれかを持参します。
(1)マイナンバーカード
(2)通知カードまたは個人番号が記載された住民票の写し(住民票記載事項証明書)
※(2)の場合は、加えて、運転免許証またはパスポート、写真付き住民基本台帳カードなどうちいずれか1種類も持参します。
本人名義の通帳またはキャッシュカード
普通預金口座のみです。失業保険の振込先になります。
本人の印鑑
認め印でも構いませんが、スタンプ印は不可です。ハローワークでの手続き時に、訂正事項がある場合に訂正印として使います。
船員であった人は船員保険失業保険証または船員手帳
会社都合退職として認めてもらうための書類がある人はそれらの書類
本当は会社都合退職なのに自己都合退職と離職票に記載する会社もあります。
該当する人は、パワハラや退職勧奨があったことを示す録音・メモ・記録など、本来は会社都合退職である根拠を持参します。離職票とこれらの根拠資料を元に、ハローワークが会社都合退職として扱うかを判断します。
失業保険の受け取り方
失業保険(基本手当)の受給手続きの具体的な流れは、後半の「失業保険をもらうまでの流れ」で説明しますが、無事に手続きが完了した後の失業保険の受け取りは、銀行振込となります。
原則4週に1度の失業認定日が振込日ですが、実際は振り込みの処理や銀行の休業日の都合で、失業認定日の3日~4日後に振り込まれます。
受給手続きのときにハローワークに持参した、通帳またはキャッシュカードの口座番号が振込先になります。
失業保険は、全額まとめて振り込まれるのではなく、毎月(約28日周期)、その月の分の手当が振り込まれます。
失業保険はアルバイトでももらえる?
「アルバイトの人でも失業保険(基本手当)受け取れるか」という問いの答えは、”YES(受け取れる)”となります。
失業保険は、正社員やアルバイトといった職種に関係なく、条件さえ満たせば受給が可能な制度だからです。
アルバイトの人も、次の失業保険の受給資格を満たしていることが必要です。
失業保険の受給資格
失業保険を受け取るには、受給資格を満たしている必要があります。
原則として「離職前2年間で雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上ある」人が受給できます。
ただし、倒産・解雇等の理由により離職した場合、やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要です。
また、失業保険は「失業の状態にある」人のみ受給できます。
失業の状態とは、次の条件を全て満たす場合のことをいいます。
- 積極的に就職しようとする意思があること。
- いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
- 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。
引用 Q&A/厚生労働省
すなわち、次の就職先が決定していたり、内定している人は受給できません。
また、次のような人も、受給することができません。
- 妊娠・出産・育児・病気やケガですぐに就職できない人
- 就職するつもりがない人や家事や学業に専念したい人
- 会社などの役員に就任している人
※活動や報酬実績がない場合は、ハローワークで別途確認必要 - 自営業者
これら失業保険の受給資格のうち、アルバイトの人で懸案事項となるのが、雇用保険への加入ではないでしょうか。
雇用保険へ加入する条件を説明します。
雇用保険へ加入する条件
雇用保険は強制保険の制度です。よって、事業主や本人の意思とは関係なく、適用基準を満たしている労働者は雇用保険の被保険者となります。
雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則としてその意志にかかわらず被保険者となります。
アルバイトやパートタイムの労働者が雇用保険の被保険者となる条件は次のとおりです。
- 31日以上雇用される見込みであること
次のいずれかを満たしていれば雇用保険へ加入できるでしょう。
- 特に雇用期間が定められていない
- 雇用期間が31日以上となっている
- 雇用契約に更新規定が明示されていて、かつ31日未満での雇用終了が示されていない
- 雇用契約に更新規定の明示はないが、同じ雇用契約で雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある
- 1週間の労働時間が20時間以上であること
1日8時間で週3日労働、1日4時間で週5日労働など、1週間内での20時間以上の労働が加入条件のひとつです。
自己都合退職と会社都合退職の違い
従業員が会社を退職するときの種類は、自己都合退職・会社都合退職と2つに分類されます。失業保険(基本手当)の受給の観点では、両者の違いはどのようなものでしょうか。
自己都合退職とは
自己都合退職とは、退職の要因が主に従業員側にある場合を指します。
例えば、次のような理由で退職する場合です。
- 会社に不満を抱いたため
- 転職・起業をするため
- キャリアアップを目指すため
- 大学・大学院への進学や海外留学のため
- 病気の治療・療養のため
- 専業主婦・主夫になるため
- 引っ越しのため
- 妊娠・出産・育児・介護のため
- 懲戒解雇
退職者が雇用保険上の「特定受給資格者」にあたらない場合の退職が、自己都合退職となります。
懲戒解雇が自己都合退職扱いなのは意外かもしれません。懲戒解雇を決定するのは会社側ですが、その原因は、従業員が法令や就業規則などに違反したことが原因であるため、失業保険の給付日数は自己都合退職の場合と同等となります。
会社都合退職とは
会社都合退職とは、退職者が雇用保険上の「特定受給資格者」に該当する場合の退職のことです。
次のような理由により退職する場合には、会社都合退職となり特定受給資格者になりえます。
- 会社の倒産
- 特定の事業所・支店の廃止や撤退
- リストラ・人員削減のための退職勧奨
- 人員整理を目的とする早期退職制度に従業員が応募
- 慢性的な長時間残業
月45時間以上の残業や休日出勤が3ヶ月以上連続しているなど - 会社の事情による休職命令を受けて、3ヶ月以上経っても命令が解除されない
- 事業所移転により通勤が困難になった
- 給与の支払いの遅延や未払いがある
- 給与の大幅減額(目安として15%以上の減額)の提示があった
- 会社から事前に説明を受けた待遇や業務内容と、実際の待遇や業務内容が異なっていることが判明した
- 上司などからのパワハラ・セクハラを受けた
- 同僚からのいじめを受けた。
- 会社の法令違反が発覚した
自己都合退職であっても会社都合退職であっても、ハローワークから配布される雇用保険受給資格者証の「12.離職理由」欄に離職理由を示すコードが明記されます。
失業保険をもらうまでの流れ(ステップ)
離職してから失業保険(基本手当)を受け取るまでの流れをステップごとに説明します。
1.離職
失業保険を受け取るには、会社が発行する「離職票」が必要です。離職票は、離職したことを証明する公的な文書で、ハローワークでの受給手続きで必要になります。
会社によって、退職者に離職票の要不要を聞き必要なら発行、退職者全員に発行、退職者からの要望がなければ発行しないなど、対応が異なっているのが現状です。
退職後に失業保険を受け取る場合は、退職前に会社に離職票の発行を申し出ておきましょう。
離職票は、退職後に会社から自宅に郵送されてくることがほとんどです。
2.受給資格の決定
退職後、ハローワークに出向き、失業保険の受給資格と離職理由の確認を受けます。
失業の状態にあり、かつすぐに働けるかどうかが確認されます。
ハローワークが確認する点は、「就職する意思といつでも就職できる能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態であること」です。
受給資格の決定後、「雇用保険受給資格者のしおり」が交付されます。
3.雇用保険説明会
受給資格決定の約1週間後に「雇用保険説明会」があります。
指定された開催日時に再びハローワークに出向きます。
雇用保険説明会では、受給資格者のしおりに基づき、雇用保険の受給中の諸手続きや失業認定申告書の書き方などの解説を受けます。
この説明会のときに、雇用保険受給資格者証が交付されます。
後で説明する、原則4週に1回の失業認定日にハローワークに出頭する必要がありますが、失業認定日がいつなのかも雇用保険説明会のときに通知されます。
上記、雇用保険受給資格者証の例では「3-木」という記載が失業認定日を示しており、この受給者の場合、失業認定日は必ず木曜日となります。何月何周目の木曜日なのかは配布されるカレンダー等で確認できます。
4.待期満了
7日間の待期期間が経過すると待期満了となります。また、上記で説明したとおり、自己都合退職の場合は給付制限があるため、待期満了の翌日からさらに3ヶ月間は失業保険が支給されません。
基本手当の支払いは預金口座振り込みとなるため、待期満了となっても特に連絡が来たりするようなことはありません。
5.失業の認定
受給資格決定から約3週間後が、一回目の失業認定日となります。
指定される失業認定日にハローワークに出頭して、仕事をしていないか・求職活動をしたか・すぐに働ける状態かどうかの確認を受けます。
認定日は、病気・看護・採用試験の受験など、やむを得ない事情がない限り変更することができません。
6.基本手当の支払い
失業の認定を受けてから1週間程度で指定した普通預金口座に1ヶ月分の失業保険が振り込まれます。
7.原則4週に1回の失業認定日
失業保険の給付開始後も、原則4週に1回の失業認定日にハローワークで失業の認定を受けます。確認される内容は初回の失業認定日と同様ですが、初回以降も必ず本人がハローワークに出頭しなくてはいけません。
失業認定日から次の失業認定日の約4週間で、原則2回以上の求職活動実績が必要ですが、ハローワーク内での職業相談も求職活動実績として認められます。
失業認定日には必ずハローワークに出向くので、職業相談も一緒に行っておくと良いでしょう。職業相談では失業保険の手続き時に交付される「ハローワークカード」を提示する必要があるため、雇用保険受給資格者証とセットで保管しておきましょう。
8.支給終了
給付日数分の給付が終了すると支給終了となります。失業保険の給付中に再就職した場合も支給終了となりますが、給付残日数等の条件により、再就職手当が受け取れることがあります。
まとめ
失業保険(基本手当)の基礎知識として、失業保険とはどのようなものか、概要から受け取れる金額の計算方法、手続きの流れなどまとめて紹介してきました。
離職票の受け取りや離職理由の決定など、退職する会社に依頼したり、すり合わせをすべき事柄が意外と多いことに気付いていただけたかと思います。
退職直前に会社側と協議するのは骨の折れる作業ですが、失業保険をより多くより早く受給するためにも大切な作業ですので、きちんと確認しておきましょう。