
「本業の会社が副業を禁止している」という人も多くいます。
では、”投資”は副業に該当するのでしょうか?
会社員・サラリーマンにおすすめしたい投資の種類を含め、副業と投資の関係について説明します。
目次
投資は副業にならない?
2018年は「副業解禁元年」などと呼ばれ、アサヒビール・カゴメ・三菱地所他、様々な企業が副業容認を発表しました。
一方で、副業を容認していない企業も多いのが現状です。
将来の利益のために資金を投じることである「投資」は副業になるのでしょうか?
結論から言えば、投資は一般的に副業には該当しません。
正確には、「投資は各企業が定める就業規則において、副業の定義にあてはまらないことが多い」となります。
各企業には、労働基準法第89条に基づき、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務がありますが、各企業が就業規則を作成するときに参考にすべきとされるのが、厚生労働省が作成した「モデル就業規則」です。
モデル就業規則では、副業・兼業について次のように示しています。
(副業・兼業)
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う
ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会
社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
引用モデル就業規則/厚生労働省労働基準局
すなわち、「本業に支障がある」・「機密が漏えいする」・「会社の名誉や信用を損なう」・「競業により自社の利益を害する」などの恐れがない限り、従業員は、本業の勤務時間外に副業をする権利があると明記されています。
本業の会社がこのモデル就業規則に沿って就業規則を作成しているのであれば、投資は副業・兼業には該当しないということになります。
副業禁止の公務員でも大丈夫?最適な投資方法
一般企業では、政府が副業を推進していることもあり、副業を容認する方向に向かいつつありますが、公務員の場合は状況が異なります。
公務員は基本的に副業禁止
国家公務員と地方公務員による営利企業での副業や会社の設立は違法であると、国家公務員法第103条および第104条、地方公務員は地方公務員法第38条で明確に定められています。
第百三条 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
引用国家公務員法
また、営利企業以外で副業を行う場合でも、許可申請が必要と定められています。
第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用国家公務員法
”副業”には該当しない副業
次のような副業は、そもそも許可申請が必要な“兼業・副業”に該当しないとされています。
ただし、いずれも判断はあいまいで、勤務先によっては副業と判断される可能性もあります。
- アフィリエイト
- 転売ビジネス
- 小規模不動産投資
- 資金運用(株式投資・FX・仮想通貨取引など)
投資は、営利企業との兼業には該当せず、かつ個人で株などの売買に取り組むだけで会社の運営にも当たらないため、副業に該当しないとされています。
なお、公務員という信用度の高さを活かせる、小規模不動産投資は公務員の副業として人気がありますが、規模が細かく決まっています。
大規模に行ってしまうと自営と判断されてしまうため注意しましょう。
自営と判断される不動産投資の例
- 土地の賃貸について、賃貸契約の件数が10件以上ある
- 駐車台数が10台以上ある
- 貸与する部屋が10室以上ある
参考(営利企業の役員等との兼業)の運用について/人事院
おすすめの投資5選
投資の種類は様々ですが、本業がある人が副業として無理なくできるおすすめの投資を紹介します。
株式投資
株式を購入して売却益を得ること、または配当金で利益を得ることを目的にして投資します。
日本証券業協会による「証券投資に関する全国調査(2018年度)」によると、株式投資をしている人は12.6%と、預貯金を除く金融商品の中では1位です。
株式投資は、サラリーマンが副業として行う投資としては王道で、未だに人気がありますが、企業の業績や将来性を分析する力が必要になるため、簡単に稼げる投資方法ではありません。
投資信託
株式投資では、日々値動きをチェックし続ける必要があり、本業を持っている人には対応が難しいことがあります。このような場合、専門家が株式や債券に投資をしてくれる「投資信託」も選択肢のひとつです。
同じく日本証券業協会による調査によると、投資信託をしている人は9.2%と、預貯金を除く金融商品の中では2位です。
ただ、投資信託には元本保証がない点には注意が必要です。
FX
「FX(Foreign Exchange)」の名の通り、他国の通貨を売り買いすることで利益を得る投資がFXです。
例えば、1ドル105円で米ドルを購入して、1ドル108円になったときに米ドルを売ると3円の差益が得られます。株式投資同様に通貨も日々変動するため、損失を被ることもあります。
仮想通貨
「仮想通貨」は、FXと似ており、他国の通貨の代わりに「ビットコイン(BTC)」などの仮想通貨を売り買いします。
利益を得ることを目指す投資となっています。土日も含めて24時間365日取引できるのが、仮想通貨のメリットでもありデメリットでもあります。
副業投資で得た収入は確定申告が必要?
確定申告は、正確には「所得税(および復興特別所得税)の確定申告」と言います。
確定申告とは、1年間のすべての所得を合計して所得にかかる所得税を計算し、国に納めるべき税額を報告する手続きのことです。
また、次の流れで確定申告します。
- 確定申告書類を作成する
- 確定申告期間内に税務署に提出する
確定申告の手続き期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
では、副業による投資で得た収入は確定申告する必要があるのでしょうか?
投資による利益が20万円を超える場合は、確定申告をする必要があります。
投資以外の副業をしている場合は、それらからの収入も含めて20万円であることに注意しましょう。
また、申告するときの所得の種類は、次のように記入します。
- 株式投資
- 株の保有で得られる配当金:配当所得
- 株を売った時に得る売却益:譲渡所得
- FX:雑所得
- 仮想通貨:雑所得
副業を会社に知られたくない人は?
本業の会社で自ら副業について口外してしまうのは論外ですが、多くの場合、副業が知られるきっかけになるのが住民税の変動です。
副業による所得は住民税の対象になります。確定申告をすると、原則として、市町村が副業での所得に対する住民税額を記載した「税額決定通知書」を本業の会社宛に送付します。
会社側はこの通知に基づき、税額を毎月の給与から天引きして納付する「特別徴収」という制度を適用します。よって、会社は税額決定通知書の住民税の税額から、会社の給与所得以外にどのくらいの稼ぎがあるのかを推測することが可能です。
会社に税額決定通知書が送付されないようにするには、確定申告書の第二表である「住民税に関する事項」の欄で、会社からの給与以外の所得に関する住民税の納付方法を指定します。
- 給与から差し引き
- 自分で納付
の2つの選択肢のうち、「自分で納付」に〇をつけましょう。
「自分で納付」にしておけば会社に税額決定通知書が送付されることがありません。
まとめ
日本証券業協会による「証券投資に関する全国調査(2018年度)」によると、実際に投資をしている20歳以上では、その投資額は「100~300万円未満」が18.9%と最も高くなっています。
一方、「300~500万円未満」が12.7%、「500~1000万円未満」が13.4%、「1000~3000万円未満」が10.2%、「10万円未満」が9.2%と投資金額の幅が広く、自分が可能な範囲で無理なく投資をしていることが伺えます。
副業をしたいができずにいる会社員・サラリーマンなら、投資も良い選択肢のひとつになりそうです。