
「副業解禁元年」の2018年以降、企業が次々に副業解禁を発表しています。
リクルートキャリアによる「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019年度版)」によると、社員の副業を推進または容認している企業は30.9%と、前回2018年の調査での28.8%より2.1ポイント上昇しています。
一方、副業解禁した企業が増えているとはいえ、まだ副業を禁止している企業の方が大半です。
本業の会社がそのような副業禁止企業の場合、特別に副業許可を取ってから副業を開始するのが正規の手順ですが、会社にはわざわざ報告せず、内緒で副業したいのが本音でしょう。
会社にばれないように副業するコツや注意点を紹介します。
目次
副業が会社にバレてしまう事例5個
副業が会社にバレる場合、その原因は意外なところにあります。先輩副業者が実際に経験した”副業バレ事例”を知って、対策しましょう。
住民税の変動
住民税の税率は、市町村により若干の差異があるものの、基本的に課税所得の約10%です。
副業により所得が増えると住民税も高くなるため、「本業の給与額と釣り合わない住民税額」が会社に知られて、副業がバレることになります。
原則として、副業の所得金額の合計額が20万円を超える人は、確定申告をすることになります。確定申告をすると、原則として市町村が副業での所得に対する住民税額を記載した「税額決定通知書」を本業の会社宛に送付します。
よって、会社は税額決定通知書の住民税の税額から、会社の給与以外にどのくらいの稼ぎがあるのかを推測することが可能です。
住民税の変動から副業がバレることを防ぐための対策は、会社に税額決定通知書が送付されないようにすることです。
後ほど詳しく説明しますが、確定申告書に「住民税に関する事項」の欄があり、副業での所得に関する住民税の納付方法が指定できるようになっています。ここで「自分で納付」に〇をつけます。
口外してしまう
内緒にしていた副業の話を自分から口外してしまうというお粗末な理由で、副業がバレることが少なくありません。
特に注意したいのが、本業に仲が良い同僚がいる場合です。ほぼ友達という同僚には気が緩み副業のことを話してしまいがちです。
話を聞いた同僚が副業に興味がない場合、就業規則で副業が禁止されているということすら知らず、「○○が副業しているらしい」と悪気なく他の同僚に話してしまいます。
うっかり口外してしまうミスを防ぐには、やむを得ない場合を除き、仕事の話だけにすることです。「急に仕事熱心になったな」と思われる程度でデメリットはありません。
また、雑談でも、社外の人は極力話に登場させずに、同僚の話や社内の人の噂話などで切り抜けましょう。
急な変化から悟られる
リクルートキャリアによる「兼業・副業に対する個人の意識調査(2019)」によると、47.3%が副業に興味はあるものの具体的には行動できていないと回答しています。
副業に興味のある人の割合が高まっており、多くの人が同僚の副業開始の動きには敏感になっています。
次のような変化で、同僚が副業を始めたと予測できるものです。
- 就業後には飲みに行っていた人が急に付き合いが悪くなった
- 残業が急に減った
- 週末は趣味を楽しんでいる人が急に趣味の話をしなくなった
副業をしなくても生活の変化は必ず起こるものですが、ポイントは“急に”これまでやっていたことをしなくなることです。
副業を悟られたくない場合は、スロースタートで徐々に生活スタイルを変化させるようにしましょう。また、勤務時間以外の過ごし方に関する話を極力避けることでも、生活面の変化を悟られるきっかけを減らせます。
副業を目撃されてしまう
店舗や会社に出向いて行う副業の場合、勤務中の姿を目撃されてしまう可能性が高まります。また、同僚や上司の家族に目撃される場合もあります。
副業を目撃されないようにするには、副業場所を注意深く選ぶことです。会社所在地や同僚が住んでいる地域を避ければ、目撃されるリスクが減ります。
ブログで広告収入を得る副業など、在宅でできてインターネット上で完結する仕事なら副業を目撃されないと考えがちですが、気を抜いてはいけません。
ネット上では本名を名乗らないようにすることはもちろん、「○○へ行った」など行動記録から身元がバレることがあるため、ネット上で公開する情報は注意して入力します。
副業と本業の連絡先を取り違えてしまう
副業に関する連絡事項をうっかり本業の関係者に送信してしまうミスから、副業がバレることがあります。
副業がバレるだけならまだしも、副業が本業のライバル会社だったりする場合は、機密情報の漏えいとなり、取り返しのつかない事件に発展することすらあります。
PC・スマホ・メールアドレス・電話番号・クラウドサービスのアカウントなどを本業用と副業用に分けて、連絡先の取り違えが起こりにくいようにすることが大切です。
副業がバレるとどうなる?
多くの会社の就業規則は、「就業規則に違反すると懲戒処分もありえる」と記されていることがほとんどです。その就業規則に副業禁止が明記されていれば、最悪の場合、懲戒処分を受ける可能性があるということになります。
ただ、法律の観点からは副業行為は違法ではありません。労働基準法他、憲法その附属法(民法や商法など)において、副業を禁ずる旨の条文は定められていません。
よって、副業をしたという理由だけで解雇するなどの処分は不当ということになります。
就業規則の拘束力については、実際の裁判でも判断が分かれていますが、次のような場合は、会社の就業規則に則った懲戒処分が妥当と判断される可能性が高くなります。
- 本業に支障をきたした場合
- 副業により対外的な信用をなくした場合
- 同業他社で働いた場合
就業規則に違反して副業をすることは、リスクを伴うと覚えておきましょう。
副業がばれない方法はある?
自ら副業について口外してしまったり、副業と本業の連絡先を取り違えてしまってバレることを防ぐには、個人で注意するしかありません。
多くの場合、副業が知られるきっかけになるのが住民税の変動です。副業による所得は住民税の対象になると紹介しました。確定申告をすると、原則として、市町村が副業での所得に対する住民税額を記載した「税額決定通知書」を本業の会社宛に送付します。
会社側はこの通知に基づき、税額を毎月の給与から天引きして納付する「特別徴収」という制度を適用します。よって、会社は税額決定通知書の住民税の税額から、会社の給与所得以外にどのくらいの稼ぎがあるのかを推測することが可能です。
会社に税額決定通知書が送付されないようにするには、確定申告書の第二表である「住民税に関する事項」の欄で、会社からの給与以外の所得に関する住民税の納付方法を指定します。
- 給与から差し引き
- 自分で納付
の2つの選択肢のうち、「自分で納付」に〇をつけましょう。
「自分で納付」にしておけば会社に税額決定通知書が送付されることがありません。
副業を始める前に知っておくべき税金のこと
税金には数え切れないほどの種類がありますが、副業をする人が必ず押さえておくべき税金が、所得税(および復興特別所得税)と住民税(都道府県民税・市町村民税)です。
所得税については、原則として、副業の所得金額の合計額が20万円を超える場合は、1年間の全所得にかかる所得税を計算し、国に納めるべき税額を報告する手続きである確定申告をする必要があります。
住民税については、副業の所得金額が20万円以下の場合でも申告が必要な点に注意が必要です。住民税の申告は、市区町村役場で「市民税・県民税申告書」を提出して行います。
副業禁止の会社でも副収入を得る方法
副業禁止の会社だからといって、何もできないということではありません。副業とみなされにくい活動をすれば副収入が得られます。
資産運用
株式投資・FX・つみたてNISAなどは、資産運用の一環としてみなされるため、原則的に副業には該当しません。
フリーマーケット
フリマアプリやオークションの利用は副業には該当しません。理由は、家にある不用品を販売して副収入を得ることには、事業性がないためです。
一方、物品を大量に仕入れて販売して儲けを得ることは、「転売」という事業性がある活動とみなされ、副業扱いになる場合があるので注意しましょう。
副業をする際の注意点
どのような副業をする場合でも、共通して注意すべき点があります。
副業詐欺に注意
日本法規情報株式会社による「相談サポート通信 相談者実態調査」によると、副業でのトラブルの第1位は、「副業を利用した詐欺に遭った」で25%となっています。
特に、生活難のために副業をはじめた場合は精神的に追い込まれているため、通常なら引っかからないような手口にも騙されてしまうことがあります。
副業をする前に、各案件を次の視点で検証しましょう。
- 話が出来すぎた副業でないこと
「稼げる」などと言い切る副業は避けるべきです。
- 現金の受け取りまでのハードルが高すぎないこと
現金で報酬を受け取るまでに、何度も手続きが必要など現金化のハードルが高い案件には警戒しましょう。
スケジュール管理を確実に行う
本業をおろそかにしないようにと言っても、副業にも責任が伴います。
本業と副業とでスケジュールがバッティングしないように、確実なスケジュール管理をしましょう。また、本業が忙しい時期は副業を入れないなど、余裕を持って副業の計画を立てましょう。
家族から了解を得る
副業は継続することが大切です。副業は就業時間外に行うため、家族には少なからず負担をかけることになります。
副業により家族が不満を抱えることにより、副業の継続が難しくなることも考えられます。また、副業は家庭をないがしろにしてまで行うものではありません。
同居の家族には副業の内容や副業により得られる報酬額などを説明し、了解を得ておきましょう。
本業と副業のコミュニケーションツールは分ける
メールのアドレスやデータの保管場所など、本業用と副業用は確実に分けましょう。
本業用と副業用のデータを同じストレージに保管していた場合など、万が一取り違えてしまうと、本業用のデータを副業先に誤送信してしまうなどのリスクが生じます。
本業と両立しやすい人気の副業6つ
副業の種類は様々ですが、時間の融通が利く・リスクが少ないという観点から本業と両立しやすい副業というものは存在します。
例えば次のような副業は、本業と無理なく両立できるため人気があります。
- 質問に対し、回答を記入欄に入力するだけの作業で誰でも簡単にできる「アンケートモニター」
- 平日勤務の会社員なら本業の休日に働ける、各種試験や検定の「試験監督」
- 新型コロナウイルス対策により一気に需要が高まった、料理のデリバリーサービス「UberEats(ウーバーイーツ)」の配達員
- 勤務時間が完全に自由で、勤務地に出向く必要もなく副業がバレにくいことから人気の、「YouTubeでの動画投稿」
- 手持ちの使っていない服・家電・車などを人に貸し出すことで収入を得る「シェアビジネス」
- 仕組みを売る・お金でお金を生むというビジネスで、作業時間はまったく自由かつ副業がバレにくい「ネットワークビジネス」
本業と両立しやすい人気の副業や副業の現状について、詳しくは、次の記事も参考にしてください。
まとめ
本業の会社にばれないように副業するコツや注意点を紹介してきました。
就業規則で副業を禁止している会社は、就業時間外の社員を監視したいということではなく、本業をおろそかにして欲しくないという理由から副業を禁止しています。
副業は無理をせずに続けられる量で行い、本業にもこれまで同様に誠実な態度で対応しましょう。