2018年の副業元年以降、副業する男性の数も増えてきました。
性別にかかわらず副業を始める人の数は増えていますが、選ぶ仕事の種類に男女差が見られます。
女性と比較すると、男性の副業では投資やせどりといった仕事が人気です。
本記事では、男性に人気の副業をランキング形式で紹介していきます。
目次
副業の現状とは
総務省統計局が2018年7月に発表した「平成29年(2017年)就業構造基本調査」によると、本業を持ちながら副業もしている人の割合は4.0%でした。一方、今後副業をしたいと考えている追加就業の希望者は6.4%でした。
本記事執筆時点から3年近く前の段階でも、いつかは副業したいと考えている人が水面下には多くいたことが読み取れます。
そして、リクルートキャリアによる「兼業・副業に対する個人の意識調査(2019)」によると、47.3%が副業に興味はあるものの具体的には行動できていないと回答しており、副業に興味を示している人の割合がさらに高まりました。
一方で、具体的に準備を進めていない理由として、25.0%が「兼業・副業する時間がないから」、14.8%が「兼業・副業に詳しくないから」、14.2%が「探し方がわからないから」と回答しています。
副業をしたいと思いながらも、時間がない・知識がないという理由で踏みとどまっているのが現状のようです。
企業が次々と副業を解禁する理由は?
昨今、副業解禁を宣言する企業が増加傾向にあります。副業解禁の背景にはどのような理由があるのでしょうか。
副業が解禁されるようになった背景
企業が一気に副業解禁に舵を切ったきっかけが、厚生労働省発行の「モデル就業規則」が改定したことです。
各企業には、労働基準法第89条に基づき、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出る義務がありますが、各企業が就業規則を作成するときに参考にすべきとされるものが「モデル就業規則」です。
企業の就業規則の雛形である「モデル就業規則」が2018年1月に改定され、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という実質副業を禁止している文言が削除されました。
同時に、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」と明記している「副業・兼業」の章が新設されました。
また、厚生労働省は「モデル就業規則」の改定と同時に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」も発行し、副業を促進することで社会全体にも好影響が見込めると明記しています。
副業・兼業は、社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から地方創生にも資する面もあると考えられる。
このように労働基準法を定めている政府が副業を推進し始めたのですから、元々副業を容認したいと考えていた企業では特に、副業解禁に向かうのは当たり前といえます。
副業解禁によるメリット・デメリット
副業解禁には、労働者と企業の双方にメリット・デメリットが生じます。
労働者側のメリット・デメリット
紹介した、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業解禁により労働者側には次のようなメリットがあるとしています。
- スキルアップにつながる
- 本業から所得を得ながら、自分がやりたいことに挑戦できる
- 所得が増える
- 本業を続けつつ起業や転職の準備ができる
一方、副業解禁によりデメリットもあると述べています。
- 就業時間が長くなるため健康管理が必要
- 本業の職務専念義務・秘密保持義務・競業避止義務を怠る可能性がある
本業以外の仕事から知識・技術を吸収することによるスキルアップももちろんですが、新しいことをしながらも本業からの収入は維持できるという「リスクヘッジ」が労働者側の一番のメリットといえます。
企業側のメリット・デメリット
同じく「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業解禁により企業側には次のようなメリットがあるとしています。
- 労働者が本業では得られない知識・スキルを獲得できる
- 労働者の自律性・自主性を促せる
- 優秀な人材の獲得・流出が防止できる
- 労働者が社外から獲得した新たな知識や人脈により、事業機会が拡大する
また、副業解禁の企業側のデメリットは次のとおりです。
- 就業時間の把握や健康管理への対応が必要
- 職務専念義務・秘密保持義務・競業避止義務が守られない可能性がある
社外から獲得した人脈の利用というメリットと秘密保持義務が守られないというデメリットは、裏返しの関係にあり、各企業でメリットを取るかデメリットを取るかの判断が迫られます。
本業と両立しやすい男性向き副業ランキングTOP10
株式会社インテージリサーチによる、16歳~79歳の職業を持つ全国の男女を対象にした「副業に関する意識調査」によると、10.7%の人が副業により収入を得ていると回答しています。
そして、実際に副業している人が取り組んでいる副業の第1位は、「アンケートモニターやポイントサイト・レビューへの参加」です。
副業の内容 | 割合 | |
第1位 | アンケートモニターやポイントサイト・レビュー投稿に参加 | 19.4% |
第2位 | 株式や金融商品、仮想通貨などに投資 | 8.0% |
第3位 | 個人貿易やネットオークションなどの物の売り買い | 3.9% |
引用副業のうち、現在行っている活動/株式会社インテージリサーチ
そして、男性だけに絞ると、副業している人が取り組んでいる職種のランキングは、次の通りとなりました。
副業の内容 | 割合 | |
第1位 | アンケートモニターやポイントサイト・レビュー投稿に参加 | 16.5% |
第2位 | 株式や金融商品、仮想通貨などに投資 | 10.4% |
第3位 | 個人貿易やネットオークションなどの物の売り買い | 4.3% |
第4位 | 人に何かを教える・コンサルティング | 3.5% |
第5位 | マンションや店舗、不動産などを経営 | 3.0% |
第6位 | Webコンテンツアプリ・デジタルコンテンツを作る | 2.8% |
第7位 | NPOなどの社会奉仕的な活動 | 2.2% |
第8位 | 雑誌やWebなどの記事を書く | 2.0% |
第9位 | ハンドメイド商品などを作る | 1.8% |
第10位 | ブログやメディアなどの運営 | 1.3% |
引用副業のうち、現在行っている活動/株式会社インテージリサーチ
男女全体のランキングと比較してもトップ3の順位は変わらないものの、男性では投資や不動産経営を副業にする人の割合が高くなっています。
この人気のランキング内の副業であれば、本業との両立ができる可能性が高いでしょう。
アンケートモニター
「アンケートモニター」とは、モニターサイトに登録し、サイト内のアンケートに回答することでポイントを稼ぐというものです。
Web形式のアンケートだけではなく、座談会形式のインタビューや覆面調査などのバリエーションもあります。
いずれも、質問に対し回答を記入欄に入力したり回答したりするだけの作業で、誰でも簡単にできます。誰でもできる副業なので、得られる報酬はお茶代程度ですが、スマホ1台あれば、通勤途中などでいつでもできるため実際に取り組んでいる人も増えています。
投資
- 株式を購入して売却益を得ること、または配当金で利益を得ることを目的にして投資する「株式投資」
- 専門家が株式や債券に投資をしてくれる「投資信託」
- FX(Foreign Exchange)の名の通り、他国の通貨を売り買いすることで利益を得る「FX」
- ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を売り買いすることで利益を得ることを目指す「仮想通貨」
など、様々な投資方法があります。投資は各企業が定める就業規則において、副業の定義にあてはまらないことが多いため、本業で副業を禁止されている人に人気があります。
せどり
個人貿易やネットオークションなど、同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ることを「せどり=転売」と言います。
「せどり」は、商品を買ってどこかで売るだけというシンプルさが人気の副業です。他の副業では何らかのスキルや準備が必要なものが多いですが、せどりは買う・売るということができる人なら誰でも始められます。
講師・コンサルティング
自分の持つスキルを誰かに教える講師の仕事は稼げる副業のひとつですが、生徒を集客することは容易ではありません。
一方、昨今では、教える人と学びたい人をマッチングする「ストアカ」など、教室運営をサポートするサービスが登場し、講師を副業にすることがぐっと楽になりました。
また、本業を活かしてコンサルティングを副業にする人も増えています。
正規社員としてコンサルタントを採用するとコストが跳ね上がるため、短期間や困ったときだけオンラインでアドバイスを求められる人材が重宝されています。
スポット的に・短期間だけコンサルをしてくれる人材として、副業人材はうってつけなのです。
不動産投資
男性のうち特に年配の男性に人気があるのかマンションや店舗、不動産などを経営する不動産投資を副業にすることです。
マンション・アパート・駐車場・自動販売機などを所有してオーナーになり、それらを利用する人からの家賃・駐車料金・利用料金が収入になります。
マンションやアパートでは、部屋を借りている人がいる限り、毎月一定の金額が継続的かつ安定的に入金されるのが最大のメリットです。
自動販売機の場合も、商品の補充等は必要ですが利用者がいる限り、自分に代わって利益を生み出し続けてくれます。
アプリ・デジタルコンテンツ制作
動画編集専用ソフトを使って、YouTube動画などの映像を編集する「動画編集」や、時間に融通がきいて案件も豊富、将来性も抜群な「アプリ制作」や「プログラミング」など、Webアプリやデジタルコンテンツを作る副業も男性から人気です。
動画編集と聞くと難しそうですが、作業内容は映像のカットやテキスト・音声挿入で、数ヶ月トレーニングすれば誰でも始めることができます。
また、プログラミングの場合、時給に換算して2,000円~5,000円と報酬が高い傾向がありますが、スキルやプログラミングできる言語によって稼げる金額が異なります。
社会奉仕
NPOなどに参加し、社会奉仕的な活動を副業として行う人も増えました。
1998年に成立した特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されてから、NPOの数は急増しています。
社会奉仕活動の種類は、捨て猫を保護する、病児保育の支援、破棄される素材の二次利用など種類は様々です。
またNPO活動には、有償の場合と無償の場合がありますが、有償の場合、得られる報酬は”収入”ではなく”謝礼”であるという理解がされます。
このため、NPO活動は副業にあたらないと解釈する企業も多く、本業で副業禁止している企業に勤務している人には人気の副業です。
副業ライター
雑誌やWebなどの記事を書くライターは、勤務場所を選ばず、納期さえ守れば勤務時間も自由なので、副業にはうってつけです。
- 美容品や映画、家電製品などを実際に利用し、その使いやすさや感想・商品の特長などを記事にして、読者に分かりやすく伝える「レビューライター」
- ゲームの攻略情報を自分で見つけて発信する「ゲームライター」
- スマホゲームやYouTube動画の台本を作成する「シナリオライター」
など、ライターの種類は様々です。
ハンドメイド
ハンドメイド副業は、その名の通り、小物・服などを自作して販売するという行為を副業としてすることです。
商品を作る工程から販売まで、すべて自分で行います。
趣味と実益を兼ねることから、元々手作りやハンドメイドが好きな人に人気のある副業です。
ブログ・アフィリエイト
「ブログ」や「アフィリエイト」は、ブログなどのメディアを運営して広告を掲載し、広告収入を得るという副業です。
作業時間が全く自由であるという手軽さから、サラリーマンに人気です
自分のWebサイトやブログに広告を設置し、サイトの閲覧者が広告をクリックした後に遷移するページで、商品やサービスを購入・申し込みすると成果が発生するビジネスモデル「アフィリエイト」を活用して報酬を得ます。
男性におすすめできない副業3つ
株式会社バーニャカウダが実施した「仕事上の悩みに関する調査」では、「仕事に関して困っていることは何ですか?」という設問で、働く人の仕事全般の悩みについて調査しています。
引用仕事に関して困っていること/株式会社バーニャカウダ
結果を見ると、給与や人間関係などは男女問わず抱えている悩みですが、男女差が見られる悩み事が見られます。
女性に対し、男性が抱えがちな悩みは、ワークライフバランスや長時間労働など労働時間の長さ、リーダーシップやマネジメントなど責任の重さに関するものでした。
男性はこのような仕事の悩みを抱えがちであることを理解した上で、次のような副業は割けるべきです。
長時間労働が発生する副業
22.8%の男性が長時間労働に悩んでいます。
大前提として本業が忙しすぎて、すでに労働時間が長すぎると感じる人は、副業はしない方が無難です。
そして、副業を始めるときは、本業に支障をきたさない副業を選ぶことが重要です。
収入が良いからと言って長時間労働になりそうな副業は選択すべきではありません。
責任が重すぎる副業
14.6%の男性が自身のリーダーシップについて、12.7%の男性がマネジメント能力について悩みを抱えています。
責任の重さに負担を感じている人が多いということがわかります。
さらに、副業でもプロジェクトマネジメントや人材管理など責任を伴う仕事をしてしまうと、プレッシャーに押しつぶされ副業が続かなくなってしまうことは容易に想像できます。
副業では、荷が重すぎると感じる仕事は割けるべきです。
ギャンブル性の高い副業
時事通信社による「ギャンブルに関する世論調査」によると、ギャンブル経験がある人は全体では58.2%。このうち、「この1年間にしたことがある」割合は、男性が46.6%、女性が28.3%でした。
ギャンブルを実際にしたことがある人の割合は、男性と女性とで明らかに差があり、男性の方が高くなっています。
注目したいのは、ギャンブルをする理由で、トップ3は次のとおりでした。
第1位 | 配当金(当選金)や景品が魅力 | 43.5% |
第2位 | 気分転換 | 36.5% |
第3位 | 当たった(勝った)ときのそう快感が魅力 | 30.4% |
引用ギャンブルをする理由/時事通信社
ギャンブルをする人の66.7%が、気分転換や楽しみのためにギャンブルを行っていると理由を述べています。
このことから、ギャンブル性の高い副業に惹かれてしまったとしても、それは収入を得るための行為として興味があるのではなく、ただ単に趣味として興味を抱いている可能性が高いということを認識しておくべきです。
副業でのトラブル事例と対策
副業解禁とはいえ、違反行為をしてしまうと思わぬトラブルに発展することがあります。
就業規則で禁止されている副業行為を知られてしまった
副業解禁の動きが活発化したとはいえ、まだ副業を禁止している企業も多く、容認している場合でも届出や許可が必要な企業が大半です。
副業自体には問題がなくとも、就業規則を違反して副業していたことが発覚した場合は、懲戒の対象となる可能性があります。
副業を開始する前に、もう一度、就業規則を確認しましょう。
一方、企業が副業を禁止するには、「本業に支障をきたす」・「副業が機密漏洩にあたる」などの正当な理由が必要です。
万が一、副業規定に違反したことを理由に解雇など重い処分がなされたとしても、その処分が有効とは限りません。
例えば、2007年には東京都内の私立大学教授が、無許可で語学学校講師などの業務に従事したことを理由に懲戒解雇処分を受けました。
その後、副業は夜間や休日に行われたもので本業への支障は認めらないとして、解雇は無効という判決がおりています。
同業他社の仕事で機密漏洩問題
本業での知識やスキルを活かせる副業だと始めやすいですが、同業他社の仕事を受注してしまうのは非常にハイリスクです。
例えば、エンジニアが、本業の後に同業他社の開発業務を副業として行うといった場合です。
開発途中のプログラムや資料は機密情報です。依頼を受けて行った業務であったとしても、機密漏えいに関するトラブルに発展することは明らかです。
副業先が本業の会社と取引関係にないか慎重に確認しましょう。
男性が副業をする際の注意点
副業をするときには、次のような点に特に留意しましょう。
確定申告を行う
副業で20万円を超える雑所得を得ている場合は、自分自身で確定申告をする必要があります。
確定申告は、正確には「所得税(および復興特別所得税)の確定申告」と言います。
確定申告とは、1年間のすべての所得を合計して所得にかかる所得税を計算し、国に納めるべき税額を報告する手続きのことです。
また、次の流れで確定申告します。
- 確定申告書類を作成する
- 確定申告期間内に税務署に提出する
確定申告の手続き期間は、原則として翌年の2月16日から3月15日までです。
住民税の申告
上記で紹介したとおり、副業の確定申告をするボーダーラインが副業での所得20万円です。
ただ、この20万円ルールは、所得税に関してのみという点に注意しましょう。
副業による所得が20万円以下の場合でも住民税(都道府県民税・市町村民税)の申告は必要です。住民税の申告を怠ると、後日市町村から電話や書面で連絡が来て、追加納税を迫られることがあります。
なお、住民税の申告は、市区町村役場で「市民税・県民税申告書」を提出して行います。
年末調整は1ヶ所の勤務先で行う
副業として本業以外の会社から給与を受け取っている場合でも、年末調整は必ず1ヶ所の勤務先で行います。
本業と副業とで収入の多い方の勤務先で年末調整を行いましょう。
家族から了解を得る
副業は就業時間外に行うため、家族には少なからず負担をかけることになります。
副業により家族が不満を抱えることにより、副業の継続が難しくなることも考えられます。
また、副業は家庭をないがしろにしてまで行うものではありません。同居の家族には副業の内容や副業により得られる報酬額などを説明し、了解を得ておきましょう。
まとめ
サラリーマンや男性会社員に人気の副業をランキング形式で紹介してきました。本業を活かした副業から、逆に副業とは全く異なる分野の副業まで、取り組んでいる仕事の種類は様々という感想を抱いたのではないでしょうか。
本業とのトラブルを避けながら、長く継続できる副業を選びましょう。