家内工業がはじまりである「内職」
その起源は江戸時代の武士の内職とも言われており、古くから「家庭内でできる軽作業」として定着してきました。
また、近年では「副業」という言葉が定着する一方、副業はしてみたいが一歩が踏み出せない人がいます。
このような副業初心者の間ではじめての副業として見直されているのが「内職」です。
江戸時代から存在していたような“THE内職“から、現代の内職の代表格”スマホ内職“まで、副業したい人が知っておきたい内職のヒントを紹介します。
目次
内職の種類7つ どのくらい稼げる?
現代においても健在の内職ですが、代表的な内職にはどのようなものがあるのでしょうか。
得られる報酬金額とともに紹介します。
シール貼り
ダイレクトメールのはがきや封筒、小物が袋詰めされているパッケージなどにシールを貼って封をする仕事です。
内職単価:1枚0.1~2円
ゴムのバリ取り
型抜き済みのゴム製品のパーツを、ハサミを使って切り離していく作業です。
バリ取りとも言われます。パーツが小さいので、材料を保管しておくスペースが小さくて済みます。
内職単価:1点0.2円~10円
各種袋詰め・封入
紙やビニールの袋に指定された物品を詰める作業です。
袋詰したあとにシールで貼る作業も含まれる場合があります。
内職単価:1点0.3円~20円
造花づくり
花びらや葉っぱなどのパーツを組み合わせて、バラやカーネーションなどの造花に加工する仕事です。
花びらや葉っぱ自体を作る作業の場合もあります。
内職単価:1点5円~20円
ボールペン組立・シャープペンシルの加工
ボールペンやシャープペンシルは、複数のパーツで作られていますが、それらのパーツを組み合わせて一本のボールペン/シャープペンシルを作り上げます。
内職単価:1本0.5~1円
野菜、果物の皮むき
栗・干し柿用の柿・玉ねぎなど、皮をむくのに手間がかかる野菜や果物の皮むきの内職です。
内職単価:栗1キロ400円
エプロン・ハンカチ・女性用下着縫製
ミシンを持っている場合にできるのが、エプロン・ハンカチ・女性用下着などの縫製の内職です。
ビーズやリボン付けなどの手縫いも含まれる場合があります。
内職単価:1点250円~800円
現代において1円以下の通貨は存在しないにも関わらず、単価が1円にも満たない作業も多く、驚いた人もいるかもしれませんね。
内職の状況については、厚生労働省が「平成29年度家内労働等実態調査の概況」を公開しています。
この調査によると、平成29年9月度の場合、内職している人の報酬を時給換算すると、「200~400円未満」が30.6%と最も多く、全体では内職の時給の平均値は「516円」でした。
内職と在宅ワークの違いは?
副業とともに「在宅ワーク」という言葉も頻繁に聞くようになった昨今。
昔からあった「内職」とはどのような点が違うのでしょうか。
内職とは?
内職の始まりは、家内工業。手加工を伴う作業を在宅で行い、仕上がった物品の個数に応じて報酬を受け取るというのが本来の内職です。
基本的に内職では、1つの企業から定期的に仕事を受け、一定数量の作業が終わったら納品。
納品したら次の作業を請け負うというサイクルを繰り返します。
在宅ワークとは?
在宅ワークは、自宅を拠点として仕事をすることです。
1995年頃の米国で、通勤時間の削減や私生活とのバランスが重視されるようになり、在宅ワークが浸透しはじめました。
「仕事は”する”ことであり、旅行に行くところではない(work is something you do, not something you travel to)」という標語が生まれたのもこの頃です。
以降、日本をはじめ世界各国で、勤務形態としての在宅ワークが当たり前になっていきました。
内職と比較して、在宅ワークで契約するクライアントは、1つの企業に限らず複数のクライアントと契約することが多い傾向があります。
以前に仕事をくれた企業が定期的に仕事をくれるとは限らないからです。
また、今日の在宅ワークでは、“PCまたはスマホ”と“インターネット”が必須アイテムといっても過言ではありません。
「内職」と「在宅ワーク」は、自宅を拠点として行う仕事という点では変わりなく、現代においては違いがあいまいです。ただ、内職の方が他の人とコミュニケーションを取る機会が減る傾向があります。
内職探しのオススメサイト3つ
今や内職もインターネット上で探す時代です。
内職の仕事が見つけやすいおすすめのサイトを紹介します。
内職市場
画像引用内職市場
「内職市場」はその名のとおり、内職に特化した案件紹介サイトです。
次の4つの働き方が選べます。
自宅で軽作業
最寄りの内職市場のお店に作業が必要な物品を取りに行き、自宅で作業した後、完成品を内職市場のお店に届けます。
店舗内で軽作業
内職市場のお店の中で軽作業します。
自宅に物品を置くスペースがなかったり、車がなく材料が運搬できない場合に利用できます。
自宅でパソコン作業
現代版の内職とも言える、エクセルなどへのデータ入力作業が中心です。
タイピングができれば他のスキルは不要な案件がほとんどです。
外出でのフィールド作業
内職のイメージとはかけ離れますが、指定された施設や店舗に出かけて写真を撮ったり、覆面調査をしたりといったフィールド作業も登録されています。
「内職市場」の評価や口コミ
近所に工場があるので、引き取りも納品も楽です。物も小さいので、特別な部屋は必要ありません。
タイミングもあるので、近所で内職募集していないかを注意深く観察しましょう。
内職は細かい作業が多く、老眼の人や高齢の方には難しいと思います。
「内職市場」は「外注業者が嫌がるような細かい作業が得意なスタッフが多い」と宣伝してクライアント企業を集めているため、そもそも視力が弱く細かい部分を見るのが難しい人は、案件を選ぶ必要がありそうです。
ママワークス
画像引用ママワークス
「ママのための在宅ワークサイト」である「ママワークス」は、小さいお子さんが居ても働きやすい環境の求人だけを集めたサイトです。
働く時間と場所を自由に選べて、子供が発熱したときなど急な休みも快く受け入れてくれる企業や職種を中心に掲載しています。
Web制作からライティング・テープ起こし・コールセンタースタッフ・秘書業務など、PCとインターネットを使った現代の内職が多数登録されています。
「ママワークス」の評価や口コミ
ママワークスとクラウドワークスで見つけてしっかりとした収入を得ています。
確かに詐欺なところもありますが、そういうところだけではないです。ちゃんとしている会社もあります。
ママワークスでは、人材を探している企業が、ママワークス登録会員を検索して、該当するスキル・経歴を持った会員に直接スカウトメールを送信できるようになっています。
ママワークスを介さず企業と副業人材が直接やり取りができるメリットの裏返しで、一部、信用できない企業もママワークスに企業登録しているようです。
PieceWork(ピースワーク)
内職に特化した求人マッチングサイトです。
前出の「内職市場」と比較すると、「PieceWork」の方は企業と副業人材のマッチングに特化しており、仕事内容のすり合わせや面接日時の調整等も、企業と副業人材とで直接やりとりして決定します。
大手の求人サイトではないため掲載案件数は少なく、外部の口コミや評価の情報が出回っていないものの、手作業による軽作業からPCを使った作業まで、様々な内職が検索できます。
内職の体験談
まず、実際に内職をした経験のある人の体験談を紹介します。
内職はかなりしんどい
週6日、1日5時間ペースで月3万弱の収入
納期があるため急かされることもあり
作業済みの物を納品するまで置いておくスペースも必要
内職したときの平均時給は「516円」であることは紹介したとおりですが、作業を急かされたり、家の中に保管スペースが必要なことは盲点かもしれません。
次に、内職を発注する企業側のコメントも紹介しましょう。
引用発言小町
簡単な仕事ですが、1枚0.25円とか0.5円とかの世界です。
仕事にも波がありますから、コンスタントには稼げません。
あまりにもいい加減な仕上がりや、ミスが続く人の場合、会社から電話がきて注意されます。
内職する場合、家の中が資材でいっぱいになりますが、大丈夫ですか?
生活費の足しになんてなりませんよ。
内職を発注する側も、内職は稼げず、質や納期に関しては厳しく、物品の保管場所も要すると厳しいコメントをしています。
高校生・学生でもできる内職は?
高校生や大学生など18未満でもできる内職はあるのでしょうか。
高校生や学生の内職は少ない
18歳未満の学生が内職をすることはできますが、数が少ないのが現状です。
労働基準法にも次のように定められており、高校生や学生が自分の希望だけで内職をはじめることはできません。
満18歳未満の年少者を使用する場合には、年少者の年齢証明書を、また、満13歳以上満15歳未満の児童を使用する場合には、修学に差し支えない旨の学校長の証明書及び親権者等の同意書を事業所に備えつけるべきことが使用者に義務づけられています。(労働基準法第57条関係)
引用年少者の労働について/山形県商工労働部雇用対策課
よって、18歳未満の学生が内職をする場合は、年齢証明・学校長の証明書・親権者の同意書が必要になります。この義務は、未成年者を不当に働かせることを防ぐために設けられています。
満18歳未満の年少者を、午後10時から翌日の午前5時までの深夜に労働させることは原則として禁止されています。(労働基準法第60条・61条関係)
引用年少者の労働について/山形県商工労働部雇用対策課
また、このように18歳未満の学生が働ける時間にも制限があります。
家で作業する内職では雇用する企業側が適切に労働時間を把握することができないため、労働基準法を遵守するまっとうな企業では、18歳未満へ内職を委託することは避けています。
18歳未満でできる内職
18歳未満でできる内職の数は少ないですが、まったくないわけではありません。
例えば、アンケートサイト・ポイントサイト・フリマサイトなどは、未成年でも登録することができます。
ただし、それぞれのサイトの利用規約には、未成年は親権者の同意を得ることなどが定められています。
例えば、フリマサイトの「メルカリ」の利用規約でも次のように明記されています。
引用メルカリ利用規約/mercari
ユーザーが未成年者である場合は、事前に親権者など法定代理人の包括的な同意を得たうえで本サービスを利用しなければなりません。
それぞれの規約に目を通し、必ず守るようにしましょう。
高校生や大学生が内職するときの注意
高校生や学生を守る労働基準法がある一方、近年グレーゾーンとなっているのが、インターネットを利用した内職の募集です。
インターネットを活用した内職は労働時間の管理が難しいため、労働基準法の目をかいくぐり、本来ありえない労働条件の内職を掲載している企業が多々あります。
また、内職をしたいが見つからないという高校生や学生を狙った詐欺が横行しているのが現状です。
例えば、内職の前にその内職に必要と偽って情報商材などを購入させるという手口があります。
副業開始後には到底不可能な無理難題を押し付け、成果が出せないことから報酬を受け取れないばかりか、先に支払った情報商材の代金が借金として残ります。
親にバレない・手軽に稼げるなどという都合のよい内職は、裏があると考え避けるべきです。
内職よりもお得なスマホ副業は?
厚生労働省の「平成29年度家内労働等実態調査の概況」では、内職による一ヶ月あたりの平均賃金もまとめています。
この調査によると、内職で得られる1ヶ月の報酬の平均値は、4万1,961円(必要経費除く)です。4万円強という金額は、本業が別にある場合の副業であれば、かなり助かる金額でしょう。
一方、同じ調査によると内職者の1ヶ月の平均就業日数は、18.3日。そして、1日の平均就業時間は5.0時間でした。
すなわち、内職での1ヶ月の平均賃金4万1,961円という金額は、月曜日から金曜日まで毎日5時間内職して得られる金額なのです。
内職では自分のペースでできる仕事は限られており「今週は忙しいから来週まとめて作業しよう」という融通が利きません。
残念ながら、本業がある人が毎日必ず5時間、内職に時間を割くことは難しそうです。
そこで、インターネットとスマホが普及した今日、内職と在宅ワークのちょうど中間ともいえる「スマホ副業」をする人が増えています。
広告収入を得られるアフィリエイトアプリ、使用していない衣服・家電・本などを売ったりレンタルしたりできるフリマアプリ、イラスト作成などのスキルを売り買いするスキル販売系アプリなど、スマホ副業できるアプリや環境がすでに整っています。
アプリを利用する以外にも、アンケートに回答することでポイントを稼ぐアンケートモニターや、会員が勧誘により別の会員を増やすことで利益を得るビジネスもネットワークビジネスも、副業と内職の両方に興味のある人であれば、はじめやすいでしょう。
スマホ副業について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
自宅でできる軽作業「内職」に、スマホを駆使した現代版の内職”スマホ内職“も加わり、副業としての内職の幅がグッと広がりました。
どのような内職で副業する場合でも、それぞれの利用規約は必ず読み、内容を理解しておきましょう。